【名探偵コナン】『時計じかけの摩天楼(1997)』の見どころを一挙公開!

『時計じかけの摩天楼』は『名探偵コナン』の初の長編映画です。漫画・アニメの大ヒットにより制作され、『時計じかけの摩天楼』以降、毎年恒例で劇場版が公開されるようになります。

本作は約20年以上も前に制作されましたが、コナンファンのみならず多くの人から支持され、愛され続けている映画です。今では地上波でも放送されるようになり、小さなお子さんでも知っているのではないでしょうか?

ではなぜ、ここまで『時計じかけの摩天楼』が愛され続けているのでしょうか?今回はその真相に迫ります。

時計じかけの摩天楼(1997)の基本情報

映画のタイトル 時計じかけの摩天楼
主題歌 杏子「Happy Birthday」
監督 こだま兼嗣
脚本 古内一成
公開日 1997年4月19日
興行収入 11億円

主題歌について

『時計じかけの摩天楼』の主題歌は『Happy Birthday』です。歌ったのはミュージシャンである杏子さんです。

主題歌はいつも最後のエンドロールと共に流れます。

そのエンドロールのバックに流れる杏子さんの深みのある声が映画の余韻をさらに引き立ててくれること間違いなしです。また、映画の物語だけでなく工藤新一毛利蘭の関係にも沿うような繊細な歌詞であるため、歌を聴くだけでも複雑で切なく、それでいてどこか幸せな恋心を味わうことが出来るのもまた魅力の一つです。

映画の中でカギとなる工藤新一の誕生日と『Happy Birthday』という主題歌のタイトル。そこにも粋な計らいが感じられます。

監督・脚本家について

『時計じかけの摩天楼』の監督を務めたのは「こだま兼嗣」監督です。

【名探偵コナン】『時計じかけの摩天楼(1997)』の見どころを一挙公開!

『名探偵コナン』(C)青山剛昌/小学館

こだま兼嗣監督は、1970年代にアニメーターとして「巨人の星」や「新オバケのQ太郎」など様々な有名なアニメで、監督・演出・キャラクターデザイン・作画監督を務めていました。

それ以降も「シティーハンター」や「結界師」など様々な有名アニメを手掛けています。

また、『時計じかけの摩天楼』の脚本家を務めたのは「古内一成」さんです。

古内一成さんはドラマ「太陽にほえろ!」でデビューして以降、様々なテレビや映画を中心に活動していました。

現在までに公開されています『名探偵コナン』の映画ほぼ全てを脚本しておりましたが、2016年に膵臓がんにより死去されています。

公開日と興行収入について

『時計じかけの摩天楼』の公開日は1997年4月19日でした。興行収入は『名探偵コナン』の初の映画ながら11億円と大ヒットを記録しています。

『時計じかけの摩天楼』以降、劇場版『名探偵コナン』は毎年春に公開されています。

時計じかけの摩天楼(1997)のあらすじ

黒川邸での事件を始めに街中で次々と連続爆破事件が発生します。

ある日、高校生探偵の工藤新一のもとに連続爆破事件の犯人を名乗る人物から挑戦状が届きます。爆発による被害を防ぐために工藤新一こと江戸川コナンは街中を奔走します。

危険な目に遭いながらも果敢に立ち向かうコナンですが、ついには幼馴染である毛利蘭にまで危険が迫ります。

蘭のいるビルに仕掛けられた爆弾。生き残るためにはその爆弾を解除するしかないが果たして蘭とコナンの運命は—?

時計じかけの摩天楼(1997)の主要登場人物

ここでは『時計じかけの摩天楼』に登場するメインキャラクターをご紹介します。

江戸川コナン

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『名探偵コナン』(C)青山剛昌/小学館

江戸川コナンは、『名探偵コナン』の主人公です。

小学生ながら天才的な頭脳を持っており、たくさんの難事件を解決してきました。そんなコナンの正体は実は高校生探偵の工藤新一です。

幼馴染の毛利蘭と遊園地に遊びに来ていた際、黒の組織の取引現場を目撃してしまい口封じのために襲われてしまいます。その際に飲まされた毒薬のせいで身体が縮んでしまい、「見た目は子供、頭脳は大人」という今の江戸川コナンが誕生しました。

周りの人間に危害が及ばないようにと隣人の科学者である阿笠博士の助言で、正体を隠すため、「江戸川コナン」と名乗り、現在は帝丹小学校1年生として生活を送っています。
また黒の組織の情報を手に入れるため蘭の父親、毛利小五郎の探偵事務所に居候しています。

工藤新一

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『名探偵コナン』(C)青山剛昌/小学館

工藤新一は『名探偵コナン』の主人公です。

シャーロック・ホームズに憧れる高校生探偵で、シャーロック・ホームズと同じようにヴァイオリンを弾いたりもしています。

「日本警察の救世主」や「平成のシャーロック・ホームズ」などと称されており、天才的な頭脳の持ち主で、その天才的な頭脳で、数々の難事件を解決してきました。

しかし、幼馴染の毛利蘭と遊園地に遊びに来ていた際、黒の組織の取引現場を目撃してしまい口封じのために襲われてしまいます。その際に飲まされた毒薬のせいで身体が縮んでしまい、「見た目は子供、頭脳は大人」という今の江戸川コナンになってしまいます。

毛利蘭

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『名探偵コナン』(C)青山剛昌/小学館

毛利蘭は『名探偵コナン』のヒロインです。

主人公の江戸川コナンの正体である工藤新一とは幼馴染で、幼稚園の頃から高校まで一緒です。

特技は空手で、どんなに強い相手にも立ち向かい、時には犯人でさえも空手でねじ伏せてしまうことも。しかし、お化けは苦手なようで漫画の中でも何度か苦手な様子を見せています。

また、一緒に遊びに行ってから姿を見せなくなった新一の帰りを一途に待ち続けています。

森谷帝二

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『名探偵コナン』(C)青山剛昌/小学館

東都大学建築学科教授でもあり建築家でもある森谷帝二。

イギリス古典建築のシンメトリーで仕事を手掛ける芸術家肌の建築家で、イギリス古典建築からか紳士的な雰囲気を漂わせています。

建物のみならず街中にある街灯なども手掛けており相当な腕があると思われます。しかし、彼の中では建築物が完璧なシンメトリーに出来ていないらしく、作中ではその葛藤も描かれています。

【ネタバレあり!】時計じかけの摩天楼(1997)のあらすじと犯人・その動機

ここでは一度、本編を見たことがある人、または犯人が誰なのか知った上で本編を楽しみたい人向けにネタバレをしています。

物語の発端は黒川院長殺人事件

物語は黒川病院の院長である黒川大造が自宅で何者かに殺害されるところから始まります。毛利小五郎は、後妻である黒川三奈が犯人だと推理するが、犯人は黒川邸の家政婦である中沢真那美だと推理していた江戸川コナンは、時計型麻酔銃で毛利小五郎を眠らせ、「眠りの小五郎」としてあっさり解決させます。

森谷帝二から招待状が届く

後日、有名な建築家である森谷帝二から工藤新一宛にパーティーの招待状が届きます。江戸川コナンの姿になってしまっている新一は工藤新一をしては参加することが出来ないため、同伴者として、幼馴染の毛利蘭とその父である小五郎と共にコナンとしてパーティーに参加します。

4月29日、森谷邸にてガーデンパーティーが催されます。森谷邸は気品のあるシンメトリー(左右対称)の宮殿で、森谷帝二自身も英国紳士風の気品さを感じさせるような紳士的な雰囲気でコナン達を迎えます。そのガーデンパーティーの最中に「今の若い建築家の多くは美意識が欠けている」と言い放ちます。

コナンや小五郎はその一言にはあまり注目しておらず、森谷も空気を換えるためか小五郎に「クイズ」を出します。しかし、小五郎はなかなか答えられず、小五郎に代わってコナンが正解します。正解したご褒美としてギャラリーに案内されたコナンと蘭は、事件があった黒川邸を森谷が設計していたことを初めて知ります。また、その際、蘭は新一の誕生日が5月4日であること、そしてその日に一緒に映画を見に行く約束をしていることや、2人の好きな色が”赤色”であることから赤色のポロシャツをプレゼントすることなどを話します。実は新一と蘭が待ち合わせをしている映画館は「米花シティービル」の中にあり、米花シティービルも森谷が設計していました。

謎の犯人からの挑戦状

その後、コナンは火薬庫から大量の爆薬が盗み出され、黒川邸が放火されるというニュースを目撃します。さらに、その犯人から工藤新一宛に「爆破予告」の連絡を受け、犯人から緑地公園に呼び出されます。その頃、公園では少年探偵団の吉田歩美円谷光彦小嶋元太の3人がラジコンの飛行機で遊んでいました。公園に到着したコナンは、そのラジコン飛行機に爆弾がついているのを発見し、間一髪のところで爆発の被害を防ぎます。

爆弾を仕掛けた犯人は爆発するまでの様子を向かいのビルから見ており、次は「1時に駅前の広場が爆発する」ということを話します。コナンは急いで駅前の広場に向かいますが、木の下に仕掛けたという爆弾がなぜか見つかりません。コナンが広場全体を観察していると、子猫が入れられたカバンを拾う女性を見かけます。そのカバンに爆弾が仕掛けられていることに気付いたコナンは、タクシーに乗り込んだ女性を急いで追いかけます。タクシーに追いついたコナンがタイマーを確認すると、なぜか「残り16秒」でタイマーが一時停止します。

コナンがカバンを持って走り出すと再びタイマーが作動し、爆発するギリギリのところでコナンは空き地に爆弾を投げ捨てます。爆発の被害をコナンは受けてしまい、爆風に飛ばされて病院に搬送されてしまいます。警察病院に運ばれたコナンは幸いにも軽傷で済みました。警察病院にて目暮警部と白鳥刑事に事件について報告をします。この時点で、コナンは犯人が変声機で声を変えていることから、自分が「知っている人物」が犯人だと推理を始めます。さらに目暮警部は新一に個人的に恨みを持っている人物の犯行だと考え、新一が世間の注目を集めた「西多摩市の岡本市長事件」が関わっているのではないかと推理をし始めます。

「西多摩市の岡本市長事件」の内容は、当初、交通事故を起こしたのは市長の息子だと考えられていたが、実際に車を運転していたのは市長で、助手席に乗っていた市長の息子が身代わりになろうとしていたことを新一により見破られてしまうというものでした。この事件によって岡本市長は失脚してしまい、市長が進めていた「西多摩市のニュータウン計画」も見直しとなってしまいます。

目暮警部がコナンのお見舞いに来ていた少年探偵団に話を聞くと、歩美がラジコン飛行機を渡された際男の人から「甘い匂いがした」と話します。コナンは甘い匂いという言葉に引っ掛かりを感じる中、再び犯人から予告電話がかかって来ます。犯人は「東都環状線に5つの爆弾を仕掛け、16時を過ぎてから列車のスピードが時速60km未満になると爆発する」そう話します。また、爆弾は日没までに取り除かなければ爆発する仕掛けにもなっていました。日没になると爆発する仕掛けに気づいたコナンは、爆弾が線路に仕掛けられていると推理します。電車を環状線から外し、目暮警部と大勢の警察官は線路で爆弾を撤去しました。

そんな中、コナンは環状線の爆弾が仕掛けられていた橋が森谷が30代の頃に設計されたものだということに気づきます。さらに、放火された黒川邸も森谷が設計していたことから、コナンは森谷が犯人なのではないかと疑い始めます。

事件の犯人は森谷帝二…?

コナンたちが森谷を訪ねて話を聞くと、コナンは歩美が話していた”甘い匂い”に気が付きます。森谷は犯人について知らないと答えますが、コナンは森谷のギャラリーで「西多摩市のニュータウン計画」を設計したのも森谷だという真実にたどり着きます。これらのことから森谷が犯人だと確信したコナンは、森谷のギャラリーに全員を集め、事件について説明します。犯行を暴かれた森谷は「屋敷に仕掛けた爆弾を爆発させる」とコナン達を脅しますが、コナンはあらかじめ起爆装置の電池を抜き取っていたため爆発はせず、そのまま抵抗することも出来ずに逮捕されます。

狙われた蘭の命

しかし、森谷は米花シティービルにも爆弾を仕掛けていたのです。しかもそこには新一と映画を観る約束をしていた蘭がいたのです。コナンはすぐに蘭に連絡をして外へ出るように指示しますが、直後にビルが爆発してしまいます。森谷から爆弾の“設計図”を奪い取ったコナンは、急いで蘭の救出に向かいます。爆発に巻き込まれた蘭は幸いにも無事でしたが爆発の影響から蘭がいたエリアの扉が開きませんでした。

コナンも蘭のいるエリアまで来ますが、がれきで塞がれてしまっているため蘭の元へまでたどり着くことが出来ませんでした。自分で解体することが出来ないため変成器で声を変え、扉の前で電話で蘭に指示をしながら爆弾を解体させます。2人は慎重にコードを切断し、最後のコードを切断しますが、タイマーは止まりませんでした。蘭が爆弾の中にまだ赤と青の2本のコードが残っていることに気づきます。

森谷は青と赤のコードのことをわざと設計図に書かなかったのです。どちらかのコードを切ればタイマーが止まりますが、間違えれば爆発してしまう。どちらを切るのが正解なのか2人で迷います。迷っているうちに時刻が午前0時を指していることに気づいた蘭は「ハッピーバースデー、新一」とそう呟きます。

2人を繋いだのは”赤い糸”

新一はもし、爆発しても一緒にいるからと「お前の好きな方を切れよ」と伝えます。しかし、その後すぐに救急隊員の人がコナンを見つけ外に連れ出そうとします。その時、コナンは赤のコードが”外れ”だということに気づきます。しかし、建物が崩れ始めてしまい、救急隊員によって外へ連れ出されてしまいます。

新一は外で蘭が“赤”のコードを切ることを心配しますが、蘭が切ったのは青のコードで、見事、蘭は爆弾を止めました。

犯人は誰なのか?

上記のあらすじからも分かる通り犯人は森谷帝二です。

【名探偵コナン】『時計じかけの摩天楼(1997)』の見どころを一挙公開!

『名探偵コナン』(C)青山剛昌/小学館

犯人の動機とは?

では、犯人の動機は一体何だったのでしょうか。ここでは犯人の動機について解説していきます。

森谷帝二の動機。それは過去に自分が設計した建築物が完璧なシンメトリーになっておらず、それが自分のプライドが許さず今までの建築物を破壊するために連続爆弾事件を引き起こしたというものでした。また、最初から工藤新一に挑戦状を送り付けた理由は西多摩市の新都市計画を台無しにした新一に復讐するためというものでした。

周りからしたらそんな理由で…とも思ってしまいますが、長年、自分が時間をかけて学んで技術を磨き、自分の仕事に誇りを持っていた者からしたら未熟者の自分が作ったものは煩わしく思えてしまうのかもしれませんね。それでも、自分の自己満足のためにたくさんの人を巻き込み、ましては命を奪うなどあってはならない事です。

時計じかけの摩天楼(1997)の名シーン・名台詞

だって、もう、もう言えないかもしれないから…。

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『名探偵コナン』(C)青山剛昌/小学館

これは赤のコードを切るか青のコードを切るか2人で迷っている際に午前0時になってしまっていることに気づき、新一に「ハッピーバースデー」と伝えるシーンです。

生きるか死ぬかコード1本によって握られた運命に葛藤しながらも、もう2度と伝えることが出来なくなってしまうかもしれない相手への生まれてきてくれたことへの感謝の言葉を述べるシーンは見ている側からしても心がぎゅっと痛くなります。

切れよ。好きな色、切れ。

【名探偵コナン】『時計じかけの摩天楼(1997)』の見どころを一挙公開!

『名探偵コナン』(C)青山剛昌/小学館

「切れよ。好きな色、切れ。心配すんな。お前が切り終わるまで、ずーっとここにいてやっからよ。死ぬときは一緒だぜ。」

どちらかのコードを切らなければどっちみち爆発してしまう。それならば蘭の好きな色を切って欲しい。本当に信頼している相手にしか言えない言葉ですよね。蘭も「お前が切り終わるまで、ずーっとここにいてやっからよ。死ぬときは一緒だぜ。」その言葉に救われたはずです。

だって、切りたくなかったんだもん。

【名探偵コナン】『時計じかけの摩天楼(1997)』の見どころを一挙公開!

『名探偵コナン』(C)青山剛昌/小学館

見事、爆弾のタイマーを止めた蘭にどうして赤のコードを切らなかったのか尋ねた際の蘭のセリフです。

「だって、切りたくなかったんだもん。赤い糸は、新一と…繋がってるかもしれないでしょ?」

”赤色”が生んだ奇跡。作中に出てくる『赤色の伝説』は本当なのかもしれませんね。

時計じかけの摩天楼(1997)の感想とまとめ

感想

初めての『名探偵コナン』の劇場版でしたが、約20年以上経った今でも愛され続けている理由が分かるような気がします。『名探偵コナン』初の劇場版にしてこれだけのクオリティなのは本当に素晴らしいですよね。私も初めて観たときは、最初の始まりから最後のクライマックスまで目を離すことが出来ませんでした。

この時代に11億円という興行収入をあげていることにも納得です。現代風のコナンの映画もアクションシーンがあって面白いですが、こういった一つ一つ事件をたどり、解決していって先にさらに難関が待ち受けているという王道パターンも捨てがたいです。

統一感のあるストーリーと最後のハラハラドキドキ感は約20年以上も前の映画であっても何度でも観たくなります。

まとめ

たった一人の人間の自己満足のために危険にさらされる街の人々と幼馴染。

一見、馬鹿らしく思える動機も視点を変えるだけで誰でも一度は考えてしまうような内容であるというところが恐ろしいです。しかし、それが人間らしさなのではないかとも考えてしまいます。

この映画にはいろいろ考えさせられるような内容がたくさん詰まっているため、観たことがある人でもまだ観たことがない人でも何度でも味わうことが出来ると思います。

それぞれの想いが複雑に絡み合った糸は果たして途切れることなく1本の糸に解くことが出来るだろうか。また、その繋がった糸の先には何が待っているのか。

その”真実”をその目で確かめたくないですか?