「耳をすませば」に登場する地球屋の置物のフンベルト・フォン・ジッキンゲン男爵ことバロンですが、何故そこにいるのかどういった経緯でやって来たのか気になるのではないでしょうか?
今回はバロン一体どういう置物であるのか、また他のジブリ作品である「猫の恩返し」との関連性についてもご紹介したいと思います!
バロンの基本情報
名前 | フンベルト・フォン・ジッキンゲン男爵 |
性別 | オス |
年齢 | 不明 |
声優 | 露口茂(つゆぐちしげる) |
バロンの特徴
フンベルト・フォン・ジッキンゲン男爵は正式名称なのですが、持ち主の西や西に紹介された雫はバロンと呼んでます。バロンとは、男爵の英語表記になります。
バロンには不思議な特徴があります。バロンの眼の中はエンゲルスツイマー、別名では天使の部屋と呼ばれる職人が偶然付けた傷によって眼の中の光が乱反射するのです。その様はとてもキラキラと輝いて綺麗で雫は魅入られてしまいます。
西もこれを気に入ったからかは分かりませんが、孫の聖司が言うには、バロンはおじいちゃんの宝物だそうです。
バロンの素性
バロンは地球屋や店主である西司郎が所持している置物です。西とバロンの出会いは、西が戦前のドイツへの留学中でした。
バロンを譲ってもらいたく持ち主に頼み続けるが、修理でいない貴婦人の猫の人形が揃わないという理由で譲ってくれませんでした。
たまたまいたルイーゼという女性が、修理後に貴婦人の猫を買い必ず2人を一緒にする、と名乗り出たことでバロンを譲り受けるものの、直後に戦争が始まって彼女も貴婦人の猫も行方が行方不明になりました。
こうしてバロンだけが西の元にいるのです。
バロンと雫の小説
バロンは地球屋でひっそりと佇んでいましたが、猫を追いかけて訪れた雫はバロンに魅入られ、小説に登場させます。タイトルは「バロンのくれた物語」です。
雫の小説の中で、バロンと許嫁のルイーゼは魔法がある町で見習いの貧しい人形作りに作られたが、2人は引き裂かれてしまったという設定になっています。
ここまでは現実のバロンと貴婦人の人形と同じなのですが、雫の小説では違います。ラピスラズリの本物の鉱脈を探し求めたバロンは、ルイーゼに再会することができます。物語の中では2人は、作ってくれた職人が人を愛する気持ちを込めてくれたから幸せだったようですが、離れ離れになってしまい最後にまた出会います。
現在になっても再会できない現実のバロンと違って、歳をとった頃になってでも物語の中で再会させてくれたことを、バロンの持ち主である西はとても喜びました。
バロンと「猫の恩返し」
バロンは「耳をすませば」に留まらず、猫のムーンと共にジブリ作品「猫の恩返し」にて再登場します。
理由は「猫の恩返し」が雫の書いた小説として設定付けられており、いわば「耳をすませば」の続編とも言える作品だからです。
こちらのバロンは、ラピスラズリの鉱脈を求めるバロンとは違ってユニークで茶目っ気のある紳士的です。タキシード姿でステッキを持ちつつ歩く2足歩行の猫として描かれています。猫のムーンと一緒に猫の事務所という所にいて、主人公のハルが困ってやってきたので手助けします。
バロンの声優
バロンの声を演じたのは、露口茂さんという俳優の方になります。多くのテレビドラマや映画作品に出演し、俳優としては珍しくラジオドラマや海外作品の吹き替えもしています。
代表作は「太陽にほえろ!」の山村精一警部補、「水戸黄門」の第1部、大河ドラマ「風と雲と虹と」などがあります。1966年には、第12回ホワイトブロンズ賞助演男優賞を受賞しています。
アニメ作品では「耳をすませば」以外には、「忍者武芸帳」に出演しています。特に「太陽にほえろ!」は大人気作品でしたので、写真集が発売されており、その中に露口さんも載っています。
バロンの名台詞・名シーン
「ふしぎね。あなたのこと、ずーっと前から知っていたような気がするの」
雫が2度目にバロンに出会い、聖司からバロンの目の魅力について教えてもらった後の台詞になります。バロンは何も語りませんが、すっかりエンゲルスツイマーの魅力に陥ってしまっている様子です。
この時にはまだ雫は小説を書くとは決めていず、バロンを登場人物にすることも考えていませんでした。
「飛ぼう、上昇気流をつかむのだ!」
これは雫の書いた小説の場面です。バロンを小説に登場させたいと思って西に相談に行って、エメラルドの原石の話を聞いた後に考えています。
バロンは雫と思しき女の子とラピスラズリの鉱脈を探しに行く時の台詞です。現実にはない世界で、空中庭園や謎の飛行船があります。
フンベルト・フォン・ジッキンゲン男爵
西に気に入られて、雫を魅力したバロンは、ただの猫の人形に過ぎませんが、雫の小説の中だけでは貴婦人の猫に当たるルイーゼに再会することができました。
バロンの不思議な魅力を確認してみたいという方は、「耳をすませば」を観てみてはいかがでしょうか?