「風の谷のナウシカ」には、物語の冒頭から登場する大きな虫である王蟲が登場します。主人公のナウシカと大きく関わり、物語の重要なシーンでも役割のある王蟲とは一体どんな存在なのでしょうか?王蟲の生活や生態、名シーンなどをご紹介していきます。
王蟲の基本情報
名前 | 王蟲(オーム) |
別名 | 腐海の森の王 |
生息地 | 腐海の森 |
体長 | 最大80m |
王蟲の特徴
王蟲は、蟲の中でも最大の大きさと言われる生命体で、腐海の主とされています。人がマスクをしなければ5分と生きていられない腐海の森に住み、ナウシカ達が戦闘に巻き込まれて腐海の深部に落ちたところには、王蟲の巣がありました。好物はムシゴヤシです。
王蟲の体
王蟲の体は硬質なセラミック以上に硬い表皮に包まれ、数十もの体節によって形成されて、ダンゴムシに似た形をしています。体液は青いです。いくつもの脚で移動し、口腔内には治癒能力のある糸状の触手を持っています。通常は青色をしている14個の目は、怒りなどの精神的に高揚することがあると赤く染まります。
王蟲の殻は極めて高度な硬さを持ち軽量であるので、抜け殻の外皮は戦闘機の外装や武具の材料として使われます。目の部分も用途があり、ガラスの代用品として重宝され、ナウシカやユパの剣を作ることができます。ナウシカは成長の過程で脱皮した王蟲の抜け殻の一部を腐海遊びの手土産に持ち帰っています。
王蟲の大海嘯(だいかいしょう)
かつて人々は腐海を焼こうとしましたが、その度に王蟲の群れが怒りに染まって地を覆う程の大波となって押し寄せたそうです。それは町や国を飲み込み、王蟲の命が尽きるまで走り、その王蟲の死体を苗床にして更に腐海が広がったとされています。この現象は、人類の住処が急激に減ってしまう災害あるいは天災とされ、大海嘯と呼ばれています。
風の谷の長老の大ババ様によると、最後の大海嘯は300年前だったそうです。昔あったエフタルという国の王位継承の争いが飛び火して内乱と化し、戦士は王蟲の甲皮の武具を競って求め、大量の王蟲が殺されました。怒りに震えた王蟲によって大海嘯が起こり、砂漠は腐海へと姿を変えました。
映画での王蟲
映画に登場する王蟲は物語冒頭でユパが誤って銃を使ってしまった時に怒って追いかけてきた個体、ペジテの思惑によって風の谷に向かってきた群れ、幼い頃にナウシカが隠そうとした子供などがいます。1匹だけであればナウシカの技術だと光弾と蟲笛だけで怒りを鎮めることができました。
原作での王蟲
原作では映画の王蟲がテレパシーをしないのとは異なり、明確に互いに念話のようなもので王蟲同士が会話をします。同時に、表情や言動から相手の心理を見透かし、人間を品定めする言動までも見せ、相当な知能を持っていることが分かります。実際に念話でナウシカと話す個体もいました。
王蟲の正体
映画では語られなかった王蟲という生き物の正体について、原作の後半で語られています。王蟲は自然に生まれた生物ではなく、火の7日間の前にいた旧人類によって作られた人工生命だと判明します。
王蟲は腐海の胞子を拡散することで、腐海自体を広めることが目的として生み出されました。腐海は人間には毒ですが、ナウシカは腐海の地下の空気が澄んでいることから、腐海には浄化作用のあることを突き止めています。
王蟲の声
映画の王蟲の鳴き声はギターの音であり、日本のロックミュージシャンである布袋寅泰さんによるギター演奏であったことが判明しています。数々のスタジオジブリ作品の音楽を担当する久石譲さんから「ギターで泣いてくれ」という依頼を受けたとされています。
王蟲の名シーン
王蟲の子供は、風の谷に怒り狂った王蟲の大軍を差し向ける為に、ペジテの人に傷つけられで運ばれていました。王蟲の子に怪我を負わせた人間の仲間であるナウシカに最初は怒りを見せますが、傷を痛めてまで救おうとするナウシカを優しい心で受け入れます。自分も怪我をしているにも関わらず、ナウシカの傷を触手で治そうとします。
子供を奪われて怒りに我を忘れた大量の王蟲達は、子供を追いかけて風の谷へと突き進んでいました。巨神兵の攻撃を受けても群れは止まらず、赤い目をして止まりませんでした。そこへ王蟲を止める為にナウシカが突っ込んでいき、ナウシカの体は勢いに飛ばされてしまいます。
しかし、風の谷を守りたいと願ったナウシカの願いを理解したのか、王蟲達はその触手でナウシカを包みます。死んだかに思われたナウシカは王蟲達によって救われた名シーンでした。
心のある王蟲
王蟲は怒り狂うと非常に恐ろしく、人の住む場所を無くしてしまう存在ではあるものの、時には人の心を理解することができます。ナウシカが傷ついた時には黄色い触手で癒そうとする優しい生き物でもありました。
王蟲は映画だけではなく、原作にも登場しテレパシーで話すシーンも登場するので、王蟲の全てを知りたい方は原作の漫画を読んでみてはいかがでしょうか。