鋼の錬金術師に登場する傷の男(スカー)はイシュヴァール殲滅戦の生き残りで国家錬金術師連続殺人者としてエルリック兄弟の前に現れます。
名前は作中明かされず、顔に大きなバッテンの傷があるから傷の男(スカー)と呼ばれるようになりました。
最初は1人で行動していたが、途中からはメイ・チャン、ヨキ、マルコーらと行動を共にするようになり、約束の日ではキング・ブラッドレイと戦い勝利します。
傷の男(スカー)の基本情報
名前 | ? |
別名 | 傷の男(スカー) |
宗教 | イシュヴァラ教 |
出身 | イシュヴァール |
作中の流れ | 武僧→国家錬金術師連続殺人犯→イシュヴァール復興に尽力を尽くす |
初登場 | 原作2巻 |
声優 | 三宅健太 |
傷の男はイシュヴァール民族出身で元々は武僧をしていました。しかしアメストリス軍が国家錬金術師を動員した殲滅戦を始め一気にイシュヴァールは壊滅されます。
傷の男はその戦いのせいで右腕を失い、重体になりますが兄から右腕を授かり、またロックベル夫妻により一命を取り留めます。
この戦いから傷の男は兄と、そして民族を殺された復讐鬼になり中央に神出鬼没で現れ、次々と国家錬金術師を殺していきます。
途中から一緒に行動するようになったヨキ、メイ・チャン、マルコーのおかげで兄から授かった右腕と、練丹術の研究書から約束の日に対抗できる「逆転の錬成陣」を解読します。
そして約束の日、ブラッドレイとの死闘の後、逆転の錬成陣を発動し、エルリック兄弟など錬金術師達が錬金術を使えるよう貢献しました。
傷の男の見た目と性格
褐色の肌に赤い目、額にバッテンの大きな傷跡。白髪が生えた短髪。いつもは目を隠すためサングラスを着用しています。
額の傷はイシュヴァール殲滅戦の時に、ある錬金術師によりつけられたもの。
右腕は元々兄の右腕で、腕には破壊の錬成陣が描かれています。
服装は復讐鬼になる前は衣の上に袈裟を羽織った僧侶らしい姿でしたが、今はノースリーブの上に黄色いジャケット、下は黒のズボンを履いています。
性格は元武僧ということでストイックで、厳格な面もあり、イシュヴァラ教への信仰も厚いです。なので他者を背いたりすることはなく、義理堅い性格をし、無口で強面。
ただその一方可愛いもの好きという意外な一面を合わせ持ちます。
イシュヴァール民族とアメストリス
イシュヴァール民族は元々アメストリス内に住んでいました。しかし、イシュヴァール民族が信仰するイシュヴァラ教が「生きたし生けるものは自然から生まれ自然に帰る」という考えを持っていたため、別の物質へ錬成する錬金術師にとってはあまりよく思われておらず、たびたび衝突していました。
しかしある時、アメストリス軍がイシュヴァールの小さい女の子を射殺するという事件をきっかけに争いは拡大していきます。
そしてブラッドレイによる国家錬金術師を動員した殲滅戦によりイシュヴァール民族はほぼ全滅し領土も追われます。
傷の男の兄、そして復讐鬼へ
傷の男の兄は新しいものを取り入れるというグループに属し、錬金術、練丹術の研究に励んでいました。なので兄の体にはその研究成果を刺青として刻みます。
そのため傷の男はそういったものには否定的だったため2人はお互い衝突していました。
しかし殲滅戦の時、家族とともに避難しようとしていた際、国家錬金術師の攻撃により兄弟2人は重傷を負います。
傷の男はこの時右腕を失っており、このままだと死んでしまうと思った兄は自分の右腕を傷の男に錬成します。
兄と同胞、同族、土地を奪われた傷の男は復讐を心に決めこの殲滅戦に関わった国家錬金術師のみならず、関わっていなくても国家錬金術師であれば殺していく復讐鬼となりました。
傷の男の強さと「破壊の右腕」
傷の男は元々錬金術には反対だったため体術に長けていて、「アメストリス軍10人を1人で相手とる」と言われるくらい強いです。
エドワードは傷の男の体術に圧倒され、アームストロング少佐とも張り合えるほどです。
また傷の男の右腕は「破壊の右腕」と呼ばれ、普通錬金術は理解→分解→再構築という順番ですが、傷の男の場合、この分解で強制的に止まるため、あらゆるものを分解、破壊します。
ロックベル夫妻とウィンリィ
イシュヴァールでの戦いが激しくなり、そこにいるアメストリス人はそこから立ち退くよう指示されますが、ウィンリィの親であるロックベル夫妻は医者としてその場に留まり、多くのイシュヴァール人を治療します。
傷の男もその中の1人でしたが、兄の右腕が自分の右腕になったことで混乱し、またアメストリス人への恨みからその場にいたロックベル夫妻を手にかけます。
ウィンリィはそのことを知らず、エドワードは誰がロックベル夫妻を殺したのかをウィンリィが近くにいることを知らずに傷の男に問います。
ウィンリィは自分の親を殺した人物が傷の男だと知り、落ちていた銃を拾い傷の男に銃口を向けます。
傷の男はウィンリィにも復讐する権利があると考えるも、攻撃して来たら敵とみなすと脅します。
しかしエドワードのおかげでこの場は収束します。
そしてブリックスで傷の男が捕まった時は、親と同様傷の男の傷を治療し、またこの状況を打破するため自ら傷の男の人質となるよう提案し、一時ウィンリィと共に行動することなります。
なぜ復讐相手が自分を助けるのか、ウィンリィの行動が今後の傷の男に影響を与えたことは間違いないかと思われます。
キンブリーとの因縁
キンブリーはイシュヴァール殲滅戦の賢者の石を使った大々的な破壊行為を行い、傷の男はその攻撃により兄を失い、自身も重体になりました。
傷の男と共に行動していたマルコーをキンブリーが追い、幾度と合間見れ戦います。
(ヨキを使ってキンブリーを出し抜き重傷を合わせたり、ウィンリィを人質にとりキンブリーから逃げるなど。)
約束の日、ブラッドレイとの死闘
今までは国家錬金術師にだけ復讐心を燃やしていましたが、イシュヴァール殲滅戦を起こし、背後にホムンクロスが一連を企てていたことを知り復讐相手をブラッドレイにします。
約束の日では錬金術が使えなくなるも、傷の男の右腕は実は練丹術がベースだったこともあり、ブラッドレイと戦うことなります。
死闘の末なんとか勝つことができ、イシュヴァール人の助けにより「血の錬成陣」を上書きし、エドワード達が錬金術を使えるようにします。
約束の日の後
約束の日が終わり、通常であれば今までたくさんの国家錬金術師を殺して来た傷の男は逮捕され何らかの罰を受けることになる存在です。
しかし、アームストロング少将のおかげで表向きは生死不明とされ、裏では傷の男を匿いマイルズと共にイシュヴァール復興に力を入れることになります。
傷の男の声優は三宅健太さん
傷の男の声を担当した三宅健太さんは僕のヒーローアカデミアのオールマイト役や、進撃の巨人のミケ・ザカリアス役など有名なアニメから海外ドラマ、映画の吹き替えなど多くの作品に携わっているベテラン声優さんです。
傷の男(スカー)の名言・名シーン
ここでは作中の傷の男の名言や名シーンを紹介していきます。
名言①:「神の道に背きし錬金術師、滅ぶべし!!」
傷の男はイシュヴァール殲滅戦からもともとイシュヴァラ教に反していた錬金術と、同族を殺した錬金術師達に強い恨みを持ちます。
殲滅戦に関係していたグラン准将を殺害したり、殲滅戦に関係なくとも国家錬金術師であれば粛清するという暴挙の末、ショウタッカーを殺害、またエドワードにも襲いかかります。
ショウタッカー殺害の際、一緒にキメラとなったニーナを殺すことで救えると考え殺害します。
名言②:「堪えねばならんのだよ」
国家錬金術師殺害をし続ける傷の男に対し師父は復讐をすることなく堪えなければならないと説きます。
兄を殺され、仲間や同胞を殺され、今もなお迫害されるこの気持ちはどこへ向けばいいのか。
復讐はまた復讐を生むことを知りながらもやりきれない気持ちを持ちながらこの場を経つ傷の男でしたが、ウィンリィとの出会いから復讐について考えるようになります。
名言③:「あの男あのままでは自らの炎でおのれの心も焼き尽くすだろう」
ヒューズの復讐をどこか心に決めていたマスタングはやっとヒューズ殺しの犯人にたどり着きます。
復讐に心を燃やす傷の男はその姿が自分の姿に見え、復讐を止める訳ではないが、エンヴィーを殺したマスタングがどう国を作っていくのか。この問いもありマスタングは復讐心に駆られることに躊躇します。
自分を客観的に見れるようになったからこそ発することができた言葉ではないかと思われます。
傷の男(スカー)は復讐心に囚われ、復讐のためだけに生きた男
傷の男は作中最初から最後まで登場し、物語には欠かせない人物です。
約束の日を止めるためエルリック兄弟達とは敵対関係からも最後は協力関係になるなど、立場とまた傷の男の心の変化が物語を進行させます。
傷の男の境遇は誰も責めることができませんが、復讐という名でまた多くの人の命を奪います。
復讐は連鎖すること、加害者・被害者の立場を傷の男を通して考えさせられるのではないでしょうか。