「ジョジョの奇妙な冒険 第5部~黄金の風~」にて、ブチャラティ率いるギャングチームの一員であるパンナコッタ・フーゴは、ボスを裏切ったブチャラティを見限って、ただ1人離脱してしまう人物です。しかしながら、彼のスタンドの異常性と残虐性は、たった1回の戦いで強烈な印象を残しました。
IQ152の天才的頭脳を持ち、一見優等生な印象を与えるパンナコッタ・フーゴ。その後どうなったのでしょうか?
パンナコッタ・フーゴとパープル・ヘイズの基本情報
名前 | パンナコッタ・フーゴ |
性別 | 男 |
スタンド名 | パープル・ヘイズ |
必殺技 | 手の甲にあるカプセルから猛毒ウイルスを発生し感染させる |
年齢 | 16歳 |
声優 | 榎木淳弥さん |
初登場 | 黄金の風 |
パンナコッタ・フーゴの特徴
パンナコッタ・フーゴは、ブチャラティ率いるパッショーネの一員です。金髪・円形の穴が開いたグリーンのスーツ・そしてイチゴがモチーフのネクタイや靴が特徴的です。まっすぐと前を見据えた凛とした立ち姿、育ちが良く将来を有望された青年のようですが、性格は屈折しており、キレた時の凶暴さはチーム1です。しかも仲間にも平気でキレて暴力をふるいます。見た目がイケメンなだけに、そのギャップに戸惑いますが、彼のスタンドと能力を見て納得。
パンナコッタ・フーゴはブチャラティの右腕的存在で、ブレーンのような役割をしていました。ブチャラティチームに入団して3年目、実は最古参でもあります。ですが、本編の中ではあまり活躍の場面がなく、しかも途中離脱してしまい、扱いが不憫すぎる…という声もあります。
パンナコッタ・フーゴの性格
裕福な家庭に育ったフーゴですが、愛ある育てられ方をされなかったためか、常識と非常識・優しさと凶暴性の2面性を持っています。レストランのゴミ捨て場で残飯を漁るナランチャをブチャラティのところへ連れて行き、「こいつにスパゲッティを食わしてやりたいんですが、かまいませんね!!」と救いの手を自然に出すことができるフーゴですが、別のシーンではそのナランチャの頭の悪さに業を煮やし、フォークで頬を突き刺す…これもフーゴです。
IQ152という天才的頭脳を持ちながら、この性格が災いし、13歳で編入したボローニャ大学で傷害事件を起こしてしまいます。家族からも見放され(もともと愛のない家庭のようでしたが)、ギャングとして生きていくしかなかったフーゴは、ブチャラティという崇拝にも似た敬慕する人間に出会うことができ、その後、アバッキオ、ミスタ、そしてナランチャという信頼できる仲間を得ました。
しかし、そのブチャラティがボスを裏切った事実にはついていけなかったようで、葛藤はあったでしょうが、そこでブチャラティたちと袂を分ける決断をします。これはパンナコッタ・フーゴらしい決断だったのでしょうか?後述しますが、「恥知らずのパープル・ヘイズ」の中で、フーゴはこのシーンと自分の心境を幾度も反芻します。
パープル・ヘイズの特徴
人型スタンドですが、首や両手足の付け根、そして口が糸のようなもので縫われており、にもかかわらず常によだれを垂らしているという、おぞましい容貌をしています。両手の拳部分に小型カプセルが各3個ついており、それが割れると猛毒のウイルスが噴き出すしくみ。カプセルは非常に脆く、ウイルスに感染した生物は30秒で肉体組織がドロドロに溶かされたようにくずれて死んでしまいます。
ウイルスの唯一の弱点は日光などの光ですが、一度感染してしまうと、たとえ光の下にいても増殖は止められません。また、ウイルスに蝕まれた生物の傍にいるだけで感染はうつってしまうので、作中ではあのアバッキオでさえも冷静さを失って汗が噴き出るほどでした。
それほど強力で獰猛なウイルスを持つパープル・ヘイズの知能はさほど高くないようで、手に付着した自分のヨダレを永遠に擦り付け続けるという醜態も見せてくれます。いわゆるフーゴの2面性である「キレる」部分を切り取ったようなスタンドで、フーゴ自身も操縦不能で危険性が高いことを重々承知しており、発動する時は「よほど追い詰められていないとこいつを出さない」とアバッキオも証言しています。
さらに不気味なのが、パープル・ヘイズがよだれとともに発する、擬態語か擬声語か擬音語か分からないような音です。「うばぁしゃあああぁぁ」「「ガァるるるるしゅるるるる」「じゅしゅるるるるるるるるううう」…よだれを垂らしながら目をひん剥いて呟くパープル・ヘイズ。アバッキオが、まさに敵よりも脅威を感じてしまうのも納得のスタンドです。
パンナコッタ・フーゴとイルーゾォの戦い
フーゴとパープル・ヘイズが戦う姿は、イルーゾォ戦しか出てきません。「マン・イン・ザ・ミラー」というスタンドにより、フーゴ本体のみ鏡の中に取り込まれてしまい、パープル・ヘイズは鏡の外でウイルスを発生するのですが、このシーンだけでパープル・ヘイズの残虐性・獰猛性が思う存分発揮されました。
結果的にイルーゾォはウイルスに感染して死んでしまい、フーゴたちの勝利でした。しかし、勝利に導いたのは、アバッキオの勇気とジョルノの頭脳ではないかと。敵の死因は感染死なれど、パープル・ヘイズはウイルスをあらゆるところにただ撒き散らしただけで、ひとつ間違えば敵味方関係なく殺戮してしまう危険な戦いだったと考察します。
パンナコッタ・フーゴは離脱を選んだ!
ブチャラティがボスを裏切った!たとえブチャラティにとって真実に向かう道だったとしても、ボスを裏切ることにどうしても納得がいかないパンナコッタ・フーゴは、たったひとり、メンバーから離脱します。
フーゴはずば抜けて頭がよく現実的で、冷静な判断をする男です。ナランチャのように他人に同情したり、ミスタのように自分の感性を信じて行動することができないのでしょう。あれほど心酔していたブチャラティと、まさかここで別れ、その後は一切登場することがないなんて、誰も想像だにしませんでした。これがギャングの世界、これが荒木ワールドです。
パンナコッタ・フーゴのその後
しかし、このままではあまりに寂しすぎると感じたのでしょうか。上遠野浩平氏による、正式タイトル「恥知らずのパープル・ヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-」が、2011年に発表されます。まさに、「黄金の風」からスピンオフした内容で、ジョルノらがボスとの死闘を終えてから半年後のイタリアを舞台に、パンナコッタ・フーゴを主人公として描かれた小説作品です。さらに、この作品は、荒木先生の執筆30周年、及び「ジョジョの奇妙な冒険」連載25周年の記念企画の第1弾として発表された経緯があります。
フーゴ自身が人生を懸けた人物、ブチャラティの死の事実を聞かされたフーゴは、自らが選んだブチャラティとの離別という選択肢は間違っていたのだろうか?なぜナランチャはあのボートに乗れて自分は乗れなかったのだろうか?と苦悶し続けます。フーゴは、同じような心の葛藤を抱えた仲間と共に、ミスタ(つまりジョルノ)からの指示のもと、新たな任務へと赴きます。生きて帰れるかどうか分からないような任務は、フーゴをどのように変えたのでしょうか?
漫画ではなく小説であること、ジョルノ率いるパッショーネの新体制が描かれていることで、新たな世界観が体験できます。必読!
パンナコッタ・フーゴの声優について
TVアニメ版「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」で、パンナコッタ・フーゴの声を担当しているのは、榎木淳弥さんです。アトミックモンキーに所属し、アニメ声優から映画吹き替え、ゲーム、ドラマCD、ラジオまで幅広い活躍をされています。
パンナコッタ・フーゴの名シーン・名言
ここでは、パンナコッタ・フーゴの名シーン・名言の紹介をしていきます。
「言っている事はよくわかったし、正しいよ、ブチャラティ、だけど、はっきりいわせてもらう。「情」に流され血迷ったことをするなんて。あんたに恩はあるが、ついていくこととは別だ。」
恩義あるブチャラティに、はっきりと意見するパンナコッタ・フーゴ。ブチャラティが右腕として信頼していた男たらしめる、堂々とした行動でした。が、読者には意外すぎる展開でしたね。
実は、荒木先生は、当初、フーゴを裏切り者にする設定にしていたようなのです。しかし、「これ以上暗い話にしたら読者をヤバイ気分にさせる」、「ブチャラティの気持ちを考えると気の毒だ」という理由から、ただの離脱という結末に落ち着いたそうです。
パンナコッタ・フーゴは完全無欠でありながらも不遇のキャラクター?
裕福な出身で育ちが良く、IQ152の頭脳の持ち主、イケメン…他のメンバーと比較しても、かなり恵まれたキャラクターでありながら、彼はとにかく不遇キャらだと言われています。途中離脱もそうですが、スタンドの登場も一度きりですし、他のメンバーのように過去の描写もほぼ出てきませんでした。 トリッシュには服を手洗いタオルに使われたりして…。
しかしながら、強烈な印象のスタンド、路頭に迷うナランチャを救うその言動などで、人気ではチームの他のメンバーに引けをとりません。小説作品「恥知らずのパープル・ヘイズ-ジョジョの奇妙な冒険より-」が刊行されたのは、まさにパンナコッタ・フーゴの人気の高さを表していますね。
この作品で、フーゴの人間らしい苦悶、葛藤、悟りが、苦しいほど伝わってきます。彼の息づかいか感じられ、ますます魅力を増すパンナコッタ・フーゴ。彼は決して不遇キャラではなかったのです。