向です。政の妻ですね。
最初は一宮女としての登場でしたが、現在は政の正妻として、子、麗も授かり、重要な立ち位置のキャラになっています。
王都圏の話は要所要所でしか出てこないため、必然的に向の登場回数も今は限られていますが、出てきた際にはいつもほっこりするようなやり取りや、宮女の立場ならではの動きや発言を見せ、時に感動的なシーンをも作っています。
ここでは向のこれまでの登場シーンを主に見ていきます。
向の基本情報
まずは向の基本情報を簡単に紹介いたします。
所属国 | 秦 |
役職 | 宮女 |
初登場 | 7巻 |
7巻にて初登場します。
見た目は至って普通の女の子です。信からは「地味宮女」と呼ばれる場面もあります。
後宮では、高貴な生まれの女性が多い中、向は田舎の商人の娘です。ですから宮女に選ばれたことで、父が泣いて喜んだというエピソードも紹介されていました。それが今や政の正妻ですから、向は一家の誇りでしょうね。
言動はどれも控えめで、特に最初の内はおどおどした挙動が多かったです。政を前にしてのそれは納得できますが、親友の陽の前でも同じくそうだったので、元々内気な性格なようです。ただ、子を持ったことで、心理的な変化があったのか、感情を表現する場面も見られるようになってきました。
向の史実における情報
向の史実における情報ですが、調べたところ向はキングダムオリジナルキャラのようです。政の子に関する記録はあるようですが、妻に関しては無いようですね。その頃は一夫多妻で、後宮では何千という規模の宮女が仕えていたことからも正式な記録が無いことも致し方ないかもしれません。
子、麗に関してもオリジナルキャラのようなので、史実というベースが無い分、親子関係や夫婦関係など今後のストーリー展開が楽しみですね。
向のこれまでの活躍
初登場、政の伽に悩む向
向は千人以上いる宮女の中から、政に複数回部屋に呼ばれます。けれども政は本を読むだけで、向の手すら触れません。そのことに悩み、親友の陽に相談するのが最初の向の登場シーンです。そのうちに向を妬んだ他の宮女たちの間で悪い噂話を流されます。政には失恋した相手がいて、向はその穴埋めのような存在だというものでした。勿論ただの噂なのですが、向はその性格からマイナスな方向に考えてしまいます。悩んだ末、決心して自分が「心の伽」を務める意思を政に伝えます。
実際には、政が向を呼ぶ理由は、向が隣りにいると落ち着いて書が読めるから、というだけのものでした。政にとっては落ち着いて身を置ける存在というのは貴重ですね。この流れから、政は向に紫夏の話もします。誰にも話したことが無い過去を明かせるほど、向には人を安心させるものがあると分かります。
政の危機を命がけで救う
(画像は後宮で倒れてしまう向)
18巻、向は呂不韋と太后の密通を目撃します。太后は政の方に味方するという話でしたが、それは嘘だったのです。向は、後宮勢力が呂不韋陣営につくという情報、そして呂不韋と太后の関係を、すぐさま政に伝えようとしますが、気配を察されて、宦官に壁越しに腹を刺されてしまいます。着物の袖で剣の血をふき取り何とかその場はやり通しますが、重傷を負ったわけで、後宮に戻った時には力尽きてしまいます。
倒れた向を発見したのが親友の陽でした。すぐに治療が施されますが、医師は危篤状態を告げます。ここでも陽が動き、政に直接向の状況を伝え、その結果当時最高の医師が派遣されたことにより、何とか向は一命を取り留めます。向は意識が戻った直後、真っ先に、反乱の危機と、呂不韋の犯した過ちを政に伝えます。これにより政は呂不韋陣営に対し、攻勢に転じることを決します。向が命をかけて契機を作ったといえます。向の精神力によるのも勿論ですが、武将や軍師だけでなく、宮女も国を支えているというのが分かるシーンですね。
向の名シーン
向の名シーンというと、子を身篭り、無事出産、母親になる、というのが印象的ではないでしょうか。
24巻にて子を授かったことが分かります。そして34巻にて、女の子を出産します。この報は飛信隊にも届きます。蒙驁将軍を亡くしたばかりだったこともあり、この知らせは飛信隊のムードを明るいものにしてくれました。子は麗と名づけられました。
母親としての向が見られるのが、40巻。反乱を鎮めた政でしたが、太后には2人の子どもがいました。太后はそこで、これまでとは打って変わって、1人の母としての姿勢を見せます。せめて2人の子どもへの処罰だけは止めてくれと政に頼むのです。過去はどうであれ太后は政の実母であり、この嘆願は政にとっても思うところはあったでしょう。けれども反乱の芽を残すわけにはいかないと、政は訴えに応えません。それに対し、太后の態度は一変し、政に罵詈雑言を浴びせかけます。そのあまりの残酷な言葉の数々に、向は涙し、そして太后を対し声を上げます。「そんなに命懸けで2人の子を助けようとしている熱意を、愛情を、どうして政様に向けることができなかったのですか」「大王様にとっては太后様がたった一人の母親だったんですよ」と。母親となった向から発せられるこの台詞は非常に重みがありますね。
作中を通しても、とても感動する名シーンですし、向自身を見ても、地味な自分に悩んでおどおどとしていた頃と考えると、母親となったことで、人間としての成長が見られるシーンでもあります。
向のまとめ
(画像は政の紫夏のエピソードに感動して泣きじゃくる向)
向は庶民的な宮女で応援したくなるような人物ですね。登場すると、ほっこりするようなシーンも多いです。
今の所、順風満帆のように思えますが、今後も王都反乱編のような苦難があるかもしれませんし、後宮では向より先に政の子を懐妊していた宮女もいます。これが伏線であるならば、向にとっては良いものではないでしょう。
もし、そういった苦しい展開が起こっても、これまでのように政や陽、信らと共に乗り越えていくことに期待です。