2001年に公開され、18年経った現在でも数多くのジブリ作品の中で根強い人気のある作品が「千と千尋の神隠し」。日本だけではなく世界からも愛される作品となっており、金曜ロードショーでも毎年放送されるほどです。
神様や生物をモチーフとした個性的なキャラクターが登場する中でも、特に見た目の印象が強いのが湯婆婆と銭婆の双子の姉妹ではないでしょうか。
この記事では、姉妹の姉である銭婆のプロフィールや名セリフ、名シーンについて紹介していきます。優しく温かく千尋を迎え入れてくれた銭婆について早速振り返っていきましょう。
銭婆の基本情報
銭婆の基本情報について紹介していきます。
性別 | 女性 |
年齢 | 不明 |
正体 | 魔女 |
性格 | 温厚、優しい |
声優 | 夏木マリ |
それでは銭婆に関する各項目について解説していきます。
銭婆の見た目や性格
妹である湯婆婆とは顔から服装の見た目だけではなく喋り方までそっくりの銭婆。湯婆婆の息子である坊ですら2人の見分けが付かないほどです。
正体も湯婆婆と同じく魔女です。同じ魔女でも湯婆婆と銭婆では魔法を使う対象が異なっており、銭婆は主に無機質な人工物に対して魔法を使用しています。
年齢についても明らかにされておらず不明ですが、ハクが元々いた川が無くなったことを湯婆婆が知っていたことから、おそらく100歳は越えていると考えても良さそうです。
性格は湯婆婆からは「性悪女」、釜爺からは「恐ろしい人物」と言われていますが感情的な湯婆婆に対して、物分かりの良い比較的温厚な性格をしており、湯婆婆とは真逆の性格をしています。魔女だから指1本でなんでも解決させるのではなく、お茶入れや千尋たちの出迎えなど自分で出来ることは極力自分で行うため、素朴で質素な生活を送っていることが分かります。
ハクが呪い付きの印鑑を盗んだとき、銭婆に対して怯むことなくハクの代わりとなってわざわざ沼の底まで足を運びに謝りに来た千尋に対して優しく接し、最後には銭婆、カオナシ、坊ネズミ、ハエドリで作った髪留めをプレゼントするほどです。人当たりの良い銭婆のことを千尋は「おばあちゃん」と呼んでおり、まるで本当のおばあちゃんかのように接しているのです。
また、千尋だけではなく得体の知れないカオナシに対しても決して邪険に扱うことなく自分の家のお手伝いとして居場所を提供し、坊ネズミやハエドリに対しても「魔法はとっくに切れているだろう?戻りたかったら戻りな」と自分の意思で物事を決定させるよう促すシーンも見られ、ただ支配されていただけの生活から成長させるためのきっかけを与えたりと面倒見のいい一面もあります。
銭婆と湯婆婆との関係性
湯婆婆と銭婆は双子の姉妹ではありますが、2人で1人前という存在でありながらも湯婆婆が銭婆のことを「性悪女」と言うほど姉妹仲は良くありません。
銭婆の印鑑を盗んで来いと湯婆婆がハクに命令をしたり、湯婆婆がいない隙に銭婆が油屋に来て坊と手下を別の姿に変えてしまうなど、本編でも顔を合わせないようにそれぞれ行動しているのが分かります。
制作当初はスレンダーな体型に自信満々な銭婆に対して、そんな姉にコンプレックスを抱く2等身の湯婆婆という設定だったそうですが、今でも油屋でせわしなく働いている湯婆婆に比べて、静かな場所でゆっくり過ごしている銭婆の方が余裕のある生活をしているのが伝わってきます。
銭婆の声優
銭婆の声優を担当したのが、夏木マリさんです。夏木マリさんは湯婆婆の声優も担当しています。
ドラマや映画だけではなく舞台女優としても活躍している夏木マリさんは、アニメ作品の声優の経験が少ないながらも、舞台で培った声量と演技力で湯婆婆の傲慢さや銭婆の冷酷さを表現しています。
また、湯婆婆と銭婆の1人2役を担当していながらもキャラクターによって声のトーンを変えており、メリハリのある演技が印象的です。
銭婆の名シーン・名セリフ
銭婆の名シーンや名セリフを紹介、解説していきます。
湯婆婆に比べて登場シーンも少なく中盤から登場する銭婆ですが、胸に刺さる名言をいくつも残しています。
「このことは内緒だよ。誰かに喋るとお前の口が裂けるからね」
銭婆がハンコを盗んだハクを追いかけた式神から姿を変え、坊をネズミに、湯バードをハエドリに変幻させます。その一部始終を見ていた千尋に声をかけたシーンです。
銭婆は千尋に貼り付いていた式神から油屋の状況を見ており、千尋がハクに対して他の人とは違う感情を持っていることも知っています。自分が油屋へ来たことが湯婆婆にバレると、盗みを働いたハクが殺されるかもしれないため、あえて脅すような形で千尋に口封じをした可能性があります。
「みんなよくきたね」
ハンコを盗んだハクの代わりに、千尋がカオナシ、坊ネズミ、ハエドリを連れて油屋から銭婆が住む沼の底まで謝罪をしに来たときに銭婆がかけた歓迎の一言です。
銭婆が油屋で初めて千尋と出会ったときの冷たい声色や淡々とした喋り方ではなく、来ることが分かっていながらもとても温かく迎えており、妹の湯婆婆との違いを感じます。
銭婆は自分に害を与えない人間に対して危害を加えることはないので、優しさと温かさが混じったこの姿が銭婆の本来の姿を知ることができたシーンの1つです。
「一度あったものは忘れないさ。思い出せないだけで…」
千尋が銭婆に昔ハクと会ったことがある気がするという話をしたときに、なかなか思い出せない千尋に対して銭婆がかけたアドバイスの一言です。
このセリフの直前に、千尋に対して銭婆は「お前を助けてあげたいけれどどうすることもできない。それがこの世界の決まりだから」と言っており、千尋自身が誰かに頼ることなく自分で思い出さなきゃ意味がないという厳しさの中にある優しさを感じるシーンでもあります。
千尋がハクを大切に思う気持ちを汲み取りながらも、油屋で辛いことも投げ出さずにやり切った千尋の強さを銭婆は見抜いていたからこそかけることができた言葉です。
銭婆は面倒見の良い千尋の味方
初めは人間だからと警戒していた千尋に対して、ハクや釜爺、リンなど味方をしてくれる存在はいますが、中でも特別千尋を気にかけて見守ってくれるのが銭婆です。
優しいだけではなく自分の頭で考えさせることも忘れず、頼りがいのある懐の広さに千尋も短時間話しただけで「おばあちゃん」と呼んでしまうほどです。油屋での経験はもちろんですが、怖い存在であった湯婆婆にハッキリと物申すことが出来るようになったのも、銭婆の温かい愛情のおかげです。
銭婆の温かさに心がホッとした方も多いのではないでしょうか?