不思議な世界に迷い込んだ人間の少女千尋が、油屋の従業員たちとの関わりから自分自身の成長と大切な人のために何ができるかを教えてくれる「千と千尋の神隠し」は、今でも根強い人気があるジブリ作品の1つです。
従業員には厳しいけれど、湯婆婆を理想の上司としてあげるジブリファンが多いのも納得できる湯婆婆の経営者としての腕は凄まじいものです。
この記事では、千と千尋の神隠しに登場する主人公で油屋で働くことになった荻野千尋(おぎのちひろ)の性格や名シーンについて紹介していきます。
始めはか弱く頼りない印象が強かったものの、油屋での経験を元に徐々に成長を見せ、たくましくなっていく千尋について振り返っていきましょう。
荻野千尋の基本情報
荻野千尋の基本情報についてまとめていきます。
本名 | 荻野千尋(おぎのちひろ) |
性別 | 女性 |
年齢 | 10歳 |
性格 | 素直、芯がしっかりしている |
モデル | 日本テレビ映画プロデューサーの娘 |
声優 | 柊瑠美 |
荻野千尋のそれぞれの項目について解説していきます。
荻野千尋の見た目
千尋は、ポニーテールに半そで、短パンにスニーカーという年相応な格好をしています。頬も赤く、まだ幼さが残る顔をしています。湯婆婆に働きたいと頼みに行った時も、「みっともない娘」と言われるほど、手足も細くとても力仕事が出来そうな感じではありません。
油屋で働き始めてリンと共に大湯の清掃を任されたとき、薬湯の札を引きお湯を出すときにも紐を引っ張ったと同時に転んだり、オクサレ様のヘドロでお湯ではなくヘドロまみれの浴槽に落ちたりと何かとドジな一面もありますが、いざというときの運動神経は抜群です。
年齢も10歳で登場人物の中でも一番若く、小学校4年生もしくは5年生です。
荻野千尋と釜爺の関係
千尋と釜爺は孫とおじいちゃんのような関係です。千尋がハク以外の油屋の従業員の中で初めて会ったのが釜爺でした。
一見強面の見た目をしていながらも千尋が人間だからと毛嫌いする様子は全くなく、時に厳しく、千尋を自分の孫と庇ったり豚小屋から戻ってきてそのままボイラー室で眠ってしまっていた千尋にそっと座布団をかけてあげるなど本当の孫のように接しています。
一方千尋も、ハンコを盗んで帰ってきた傷だらけで弱り切っているハクの面倒見てほしいとお願いと頼んだり、銭婆の居場所を聞いたりと釜爺に対して本当のおじいちゃんのように接しています。
千尋にとって釜爺は油屋の中でも信頼できる存在であることがよく分かります。
荻野千尋の性格
千尋の性格は、素直で芯がしっかりしています。湯婆婆と契約し、油屋で働くことが決まるまでの序盤のシーンでは臆病でどんくさい印象が全面的に描かれていましたが、徐々に本当の性格が見えてきます。これはリンも千尋に直接「どんくさい」と言っています。
まず素直な部分ですが、千尋は冒頭のシーンからどんなときでも、どんな相手でも感情を素直に出しています。油屋で働いているときもリンや湯婆婆に対して敬語だったのが、徐々に外れてタメ口になっています。これは、「まだ10歳で子供だから」とも言えますが油屋ではなかなか見ない人種です。
次に芯がしっかりしている部分ですが、一番分かりやすく描かれているのはカオナシと2人きりで話をする場面です。他の従業員が金に目が眩みカオナシをもてはやしている中で、千尋ただ1人がカオナシに頼ることはありません。千尋が欲しいものは金ではないことを強く理解しているからです。
千尋のまっすぐでしっかりした性格にハクやリン、油屋の従業員たちは影響を受けていくのです。
荻野千尋のモデル
千尋のモデルとなったのは、日本テレビで映画のプロデューサーをしている奥田誠治さんと言う方の娘さんだそうです。これは宮崎駿監督だけではなく、スタジオジブリのプロデューサーである鈴木敏夫さんもインタビューでそう答えています。
名前は千晶(ちあき)さんと言い、年齢等は明らかにされていません。千晶さんが体験した出来事が千と千尋の神隠しの中に描かれています。
そのシーンはどこかと言うと、終盤千尋がハクに対して、コハク川に靴を落とし、拾おうとして川に落ちたと話すシーンです。このエピソードは千晶さんが実際に体験したことで、千晶さんが宮崎駿監督の山小屋に訪れたとき、近くの河原を散歩している最中、履いていた靴を川に落としてしまったエピソードを用いているそうです。
荻野千尋の声優
千尋の声優を担当したのは、6歳から子役として活躍していた柊瑠美(ひいらぎるみ)さんです。
千と千尋の神隠しが公開された2001年で柊さんは14歳でした。声優として初めての仕事、そして初主演であどけなさが残るものの、持ち前の演技力で千尋のさまざまな表情を見事に使い分けて、一躍時の人物となりました。
その後もドラマや映画など多くの作品に出演。千と千尋の神隠しの出演した7年後には、崖の上のポニョでも声優として出演し、大人びた演技を見せています。
荻野千尋の名シーン
荻野千尋の名セリフや名シーンについて解説していきます。
主人公である千尋は感情表現がしっかりしており、まっすぐで素直な性格で湯婆婆をはじめとする油屋の従業員の意識を変えていきます。
ここで働かせてください!
油屋の世界にやってきた千尋がハクに教えてもらった通り、湯婆婆にお願いするシーンです。
初登場シーンから千尋は声も小さく自分の意思で何もできない弱い少女として描かれていましたが、湯婆婆の圧力に負けず「ここで働かせてください!」としか言いません。
ここに来るまでの間で釜爺とリンから「仕事」について教えてもらった千尋は、両親を豚の姿から人間の姿に戻してもらうため、そして元の世界に帰るために千尋の表情から何か吹っ切れたような決意を感じます。
千尋が心の奥底に持っている力強さを初めて感じたシーンでもあります。
千尋って…私の名だわ!
ハクが千尋に声をかけ、早朝に豚小屋にいる両親に合わせるシーンでのセリフです。
油屋で働くことが決まり湯婆婆に名前を取られ千尋ではなく「千」となって一晩が経ったとき、ハクが隠しておいた千尋の服に紛れ込んでいた転校前の友人がくれたお別れカードを見て、自分の名前は「千尋」であることを思い出します。
このカードのおかげで千尋は自分の名前を思い出すきっかけとなりましたが、同時に油屋に来てまだ一晩しか経っていないのに、もう名前を忘れかけてしまうほど湯婆婆の魔力は強力であることも表しています。
わたし、ハクを助けたい
ハクが銭婆のところから印鑑を盗み、傷だらけの状態で油屋に戻ってきたときの千尋のセリフです。
湯婆婆の部屋にある暖炉から釜爺のいるボイラーまで落ちてきた千尋とハク。苦しむハクに千尋はニガダンゴを食べさせて何とか落ち着かせます。ハクが落ち着いたのを見て、釜爺にハクを託し、千尋は銭婆の元へ行くと釜爺に告げます。
銭婆を知る釜爺の制止を振り切り、千尋は何度も自分を助けてくれたハクにお礼がしたいと伝えます。千尋がハクを思う気持ちを本物だと感じた釜爺は千尋に銭婆のいる「沼の底」までの片道切符を千尋に渡すのです。。
荻野千尋のまとめ
「千と千尋の神隠し」は始めは何もできない少女だった千尋が、ハクや釜爺、リンの協力がありつつも自分の力でどんどんと成長していく様子が印象的な作品です。
湯婆婆の支配する油屋で、来たばかりの頃は人間だからと周りは嫌な目で見ていたものの、どんなときも真剣に仕事をやり遂げる千尋の熱意に、圧倒される他の従業員たち。最後には千尋の契約書が破棄され、全員笑顔で見送りをしているシーンは感動してしまいます。
何事も諦めず目の前の壁を次々と乗り越えていく千尋に勇気を貰った方もいいのではないでしょうか。