将軍、廉頗です。元趙の三大天の1人です。
経験値等を加味しても、作中でも最強クラスの武将なのが廉頗です。元は趙にいましたが、初登場の時は既に魏に身を置いていて、その後は楚に亡命と、国を渡り歩いています。
戦好きで、曲がったことはしない性格から、敵ながら天晴れと言えるようなタイプのキャラクターです。
ここでは、廉頗のこれまでの活躍と、史実における情報と、今後について見ていきます。
廉頗の基本情報
廉頗の基本情報について簡単に紹介します。
所属国 | 趙→魏→楚 |
地位 | 大将軍 |
武器 | 矛 |
初登場 | 18巻 |
逆立った髪と太い眉に、強い目力が見た目の特徴で、迫力のあるオーラを纏っています。
性格は戦好きなだけあり、豪快です。また、リン相如(対応していない漢字はカタカナで表記しています)との関係が「刎頚の交わり」であったことや、王騎のことを「苦しみと喜びを分かち合っている友」とする等、人に対し、思いやりの強い一面も多々見られます。
実力は、李牧を以ってしても、廉頗に正面から当たって勝てる武将は天下に1人もいないと、言わしめる程です。
また、廉頗は廉頗四天王という、側近に4人の強力な将軍を抱えているのも特徴です。
廉頗の史実における情報
(画像は秦兵を薙ぎ倒す廉頗、史実では廉頗の戦場における活躍は他の武将と比べても詳しく記されているようです。)
廉頗は史実に登場した人物です。そして、将軍としての情報がかなり詳細に分かっていることもあり、キングダムの中では、史実の再現度が高いキャラクターの1人であるようです。趙王との対立により魏に亡命したという経緯や、刎頚の交わりのエピソードも実際の出来事のようです。
ただ、作中でも少し触れられていますが、史実において、廉頗が最も活躍した時代は、秦の六将時代で、度々秦国の侵略を食い止めたようです。また、当時、秦国と並んで二強とされていた斉国の陽晋を落とす功績を上げ、着実に地位を確立していったようです。有名な長平の戦いでも廉頗は活躍しました。王騎に対し粘り強く戦い、秦国を苦戦させたようですが、白起の作戦により、趙王は大将を廉頗から別の将軍に変えてしまったそうです。それ故に趙国は敗れ、あの有名な長平の大虐殺が起きたとも言われています。
その後、廉頗は魏に移るのですが、そこからは作中と違い軍を率いることは無かったようです。没年については不透明なようですが、楚で息を引き取ったということは分かっています。魏への亡命以降史実では精彩を欠いた廉頗ですが、キングダムでは魏において軍を率いたり、楚国にて禍燐との密談を行ったりと、勢力的に活動しているので、今後どのように動いていくのかはまだ分かりませんね。
廉頗のこれまでの経歴、活躍
廉頗の初登場、18巻
18巻にて、廉頗が趙から魏に亡命したエピソードが紹介されます。趙王の私怨から大将権を剥奪されそうなところを、廉頗は、あっさりと趙王の送った軍を返り討ちにし、国より戦が大事だと、生え抜きの将校を引き連れ魏に亡命したのですね。
廉頗の出陣、19巻から
(画像は、廉頗四天王の1人、介子坊に気合を注入する廉頗)
19巻から、本格的に廉頗が出陣します。廉頗の有名なシーンが、出陣前に、味方に気を注入するシーンですね。甲冑がミシミシと音を立てる程、強く抱きしめます。これにより、不本意に総大将に置かれた白亀西の士気も上がるのですから不思議です。
廉頗が最初に戦場に現れるのは、王翦と摎燕の所でした。王翦が戦場で囲地を取る作戦を見抜き、ピンチに陥った摎燕軍の前に姿を現しました。廉頗の登場とともに戦場が震えるほどの士気の爆発があり、まさに天下の大将軍のそれでした。これにより、撤退した王翦の動きを封じ込めることができるのです。ただ廉頗は、このような戦の中でも、どう勝つかではなく、王翦というのがどのような武将なのかと、品定めするような言動が見られ、戦を楽しむ余裕を感じさせます。
蒙驁将軍の雪辱戦
廉頗は、秦国総大将蒙驁の本陣の後ろを取るのですが、それを読んでいた蒙驁は対廉頗用の砦を築いていたのです。というのも、同じ世代である2人は伍長時代から何度も刃を交えていて、結果蒙驁の全敗だったのです。40年ぶりに再戦を果たした蒙驁は勿論、廉頗を破る為の策を練っていたのでした。それが、「断道の計」という罠を張り巡らせた迷路のような砦、そして、その罠をも廉頗には通用しないことを見越し用意した、途中での砦の「作り変え」という二重策でした。
流れは蒙驁に来ていたように思えましたが、廉頗は砦に入る前から二重の策を予想していました。罠のにおいのする場所を察知して、蒙驁の死角になる場所に入り込み、策を破ったのです。王翦と戦った際は、相手の裏を読む「知将」の面を見せていたのに対し、ここでは感覚で砦を攻略するという「本能型」の面を見せました。
40年かけた策でも蒙驁は廉頗を討つことは出来なかったのです。
四天王を思う廉頗
王翦や桓騎に興味を示したり、40年前に手合わせした蒙驁を覚えている等、廉頗は戦同様に、人間好きなイメージを与えます。それ故、味方の死については他の武将以上に過剰に反応する面が見られます。
特に、四天王の死を聞く際は、玄峰の時も、輪虎の時も目を白目にして怒りを噛み締めていました。その怒りの一撃を信が食い止めるシーンは有名ですね。
廉頗の名シーン
22巻から23巻にかけて、廉頗と蒙驁の大将戦に、信らが合流し、終戦するまでの流れは、廉頗の名シーンが盛り込まれています。
そもそも廉頗の戦線復帰は王騎の死が起因していたのです。六将が去った時、それは1つの時代の終焉を意味していました。廉頗の戦への火も消えかかっていたところ、王騎の敗戦はまさに廉頗に時代の流れを告げる出来事だったのですね。これにより廉頗は、世代交代に抗うように再び姿を現したわけです。まだ時代は終わっていないと、自分の居場所は戦場にあると、自分に言い聞かせる廉頗ですが、蒙驁から引導を渡すような言葉ももらうのです。そんな中、王騎の矛を受け取ったという、信に出会い、王騎の天下の大将軍としての最期を聞かされます。その時に、「どいつもこいつも自分勝手に先に行きおって」と感慨に耽るシーンは名シーンの1つです。強者故に、自分を燃えさせるものを見失ってしまった哀愁が感じられます。
そんな廉頗が、信や蒙恬に、大将軍として必要な資質と、そして、六将三大天の時代を超えるための条件を突きつけるシーンは特に名シーンです。何を成し得ても、最強の時代と比較されるであろう信たちが、唯一最強を証明できる手段として、「中華統一」を挙げるのです。信はそれを成すと廉頗に約束します。具体的に「中華統一」を口にするキャラクターはほとんどいないため、印象深いシーンではないでしょうか。
廉頗は史実にも残る最強クラスの大将軍
廉頗は、「武」の力、人間としての器の大きさから、天下の大将軍としてふさわしい人物ですね。強い将軍は沢山登場しますが、戦一筋という、まさに戦乱の世に似合う人物像の筆頭が廉頗でしょう。
「死ぬまでわしは現役じゃ」と豪快に宣言していた通り、魏を去った後も精力的に動き楚での地位を固めつつあります。信との約束もありましたし、この先も重要な局面で出番があるかもしれません。
「あの時代は完成している」と、三大天と六将時代の1つの終結を悟った廉頗が、今後どのような新たな動きを見せていくのか楽しみですね。