呂不韋です。政と長きに渡る政権闘争を繰り広げ、暗殺を企てる等、秦国の人間ですが、敵として存在していると言っていいでしょう。
楽天的な調子で話しているシーンもあれば、武人をも黙らせるオーラ、威圧感をも放つ場面もあり、掴みどころの無い人物です。
ここでは呂不韋の史実に関する情報と、作中での登場シーンを紹介します。
呂不韋(りょふい)の基本情報
(画像は、商人の経験を活かし、李牧と交渉するシーン)
まずは呂不韋の基本情報について簡単に紹介します。
所属国 | 秦 |
地位 | 右丞相→相国 |
声優 | 玄田 哲章 |
初登場 | 2巻 |
初登場は2巻ですが、本格的に顔を表すのは10巻が最初です。
元々は一介の商人であった呂不韋ですが、政の父のために財をはたき、その策により、政の父は王になりました。呂不韋はその褒美として丞相の席を手に入れたのです。
見た目は、武将のように相手を圧倒するような迫力こそないものの、オーラはあります。それは、いつも無鉄砲に発言する信さえも押し黙るほどの、相手を包み込むような気配だと作中で表現されていました。ただの商人だった男が国を動かす権力を手に入れているわけですから、そのような風格も当たり前かもしれません。
性格はとにかく野心家で、虎視眈々と王の座を狙います。ただ、童心も持ち合わせていて、政陣営と力差があったときはすぐに政の命を狙わず、遊び相手にするような余裕を見せるシーンもあります。
また、登場した頃は、呂不韋の側近が強力で、「四柱」と呼ばれる4人がいました。李斯、昌平君、蒙武、蔡沢です。
呂不韋(りょふい)の史実における情報
呂不韋は史実にも登場する人物であり、その記録が作中でもかなり忠実に再現されているキャラクターのようです。ただ史実において注目できる点として、呂不韋が政の父親ではないかという記録があるところです。作中でも、これについて、呂不韋が冗談ですが口にするシーンがあります。先述した通り、呂不韋は最初、商人として、秦王子楚に取り入ったわけですが、子楚は呂不韋の妾を気に入り、彼女との間に子をもうけます。これが政です。元々呂不韋の妾であることから、実は血縁関係にあるのでは、という記載もあるようです。ここに関しては真相ははっきりとはしておりません。
子楚が莊襄王として即位したことで、丞相の地位を手に入れ、その死後、政が王となると、相国の地位に就きます。このあたりの出世の過程は作中とも同じですね。
呂不韋の功績として、呂氏春秋を作成したというものがあります。食客を集め、共同編集させた書物で、多岐に渡るジャンルを網羅しており、百科事典のようなものを、当時最初に完成させているのですね。
呂不韋の失脚については、嫪毐の乱で起こったことであり、これも作中と内容は合致するので、後程詳しく述べます。呂不韋の人脈の広さから、再びの謀反を恐れた政が、蜀への流刑を執行すると、呂不韋はその絶望感から蜀への道中で毒を飲み自殺するのです。この呂不韋の最期を作中ではどう扱うのか興味深いですね。
呂不韋(りょふい)のこれまでの活躍
政暗殺のクーデターを起こす
2巻にて、呂氏陣営が政側にいないことは分かっていましたが、いよいよ8巻にてクーデターを起こし、刺客を送り込みました。朱凶や号魔をはじめ、シ尤をも含む暗殺部隊により、咸陽にて昌文君の協力者らが次々と殺されたのです。狙いは政であり、次に王宮に侵入してくるのです。信の活躍と、対魏戦にて交流を持っていた羌瘣との関係から、危機を切り抜けることはできましたが、この出来事は呂不韋が本格的に王座を狙い始めたことを意味する、いわば戦争の始まりを政たちに自覚させたものでした。
この事件の後、呂不韋は政の元を訪れ、クーデターの首謀者は自分であると宣言します。このシーンは呂不韋が初めてはっきりと姿を現したシーンでもあり、いきなりのこの宣言で、呂不韋という人物が只者ではないということが印象付けられた場面でしょう。呂不韋のその宣言に対し、政としてはそれを冗談として済ませる他無い程、この時の両陣営の力差は大きなものでした。
後宮勢力を取り込む
呂不韋と太后が以前、恋人関係にあったことが18巻にて発覚します。そして、丞相側が後宮勢力を傘下につけるやり取りが、呂不韋と太后の密会にて交わされました。これは、呂不韋陣営にとって、強力な武器を手に入れると同時に、政陣営に攻勢に出るきっかけを与えることにもなった出来事でした。呂不韋もこれに関しては大きく賭けに出た行動でしたが、40巻にて、アイ国の反乱を鎮圧されたことで、賭けは失敗に終わります。このクーデターについては、流石に呂不韋にも罪は波及し、島流しの刑に処されましたが、史実のように絶望している様子はなく、むしろ、気分が高揚しているという発言もありました。ただ、史実における呂不韋の結末と、作中では呂氏四柱も失ったことを考えると、復権の芽はほぼないでしょう。
呂不韋(りょふい)の名シーン
呂不韋の名シーンは、39巻、咸陽の戦いを前に、政と対談を行った場面ではないでしょうか。人を翻弄し、裏で操る呂不韋がここで初めて自らの天下像を口にします。
呂不韋の考える天下の起源は、貨幣でした。若い時より、金を最大の武器として、金を使って人の欲望を操り、国を大きくすることを可能と考えてきました。よって、呂不韋の統治のやり方は、秦国を中華一富に満ちた国にすることで経済の循環の中心に置き、敵を倒すのではなく、豊かさで他の国をも包み込むというのが理念だったのです。
また、人の戦いというのは、それぞれが真っ当な感情からの行いであり、それを排除することは不可能だと考えていたのです。敵国を征服することで、戦争をなくし、天下統一を考える政とは対極的なものですね。最終的には政は呂不韋の為政者としての考えに、人の本質の見誤り、諦めがあることを指摘しますが、呂不韋の思想に圧倒される場面もありました。この場面を見ると、やはり相国の地位へ上り詰めた人間であり、別の場所、ベクトルでその才覚を発揮できていれば、政からも、秦国からも重宝される存在であったのではないかと考えられますね。
呂不韋(りょふい)のまとめ
呂不韋の商人から相国への道のりで経た経験、知識は唯一無二なもので、呂不韋という人物の大きさにつながっていました。李牧との秦趙同盟を成立させる等、良い面での活躍もありました。
物語のはじめから、40巻にまで渡り、政との権力争いを繰り広げたことで、キングダムで欠かせないキャラの1人ですね。なので今後の政陣営の成長にも、この呂不韋という高い壁を乗り越えた経験というのが影響してくると思われます。
また、呂不韋が今後登場するのであれば、キングダムオリジナルの出番になる可能性が高いえ、その点も注目ですね。