【キングダム】成蟜(せいきょう)の最期とは?実在した?声優や名シーンも紹介

嬴政(後の始皇帝)の中華統一を題材にした「キングダム」では、王家の正当な血筋でありながら、呂不韋の野望の為、王になれなかった嬴政の異母弟の成蟜。

嬴政の母の趙姫は、元々は趙国の踊り子(娼婦であったとも)で呂不韋の恋人(妾)であったのですが、呂不韋の野望の為、昭王(昭襄王)の太子・安国君の子・子楚(後の荘襄王・嬴政の父)に献上されています。ですので、趙姫自身の身分は非常に低く嬴政自身も呂不韋の働きかけがなければ、秦国王にとてもなれるはずがなかったのです。

しかし、実際は王に即位したのは嬴政で、王族の血統を継ぐ成蟜は王にはなれませんでした。

この記事では、その成蟜が嬴政の最大の盟主となっていった名シーンを解説していきます。

成蟜(せいきょう)の基本情報

【キングダム】成蟜(せいきょう)の最期とは?実在した?声優や名シーンも紹介

『キングダム』(C)原 泰久/集英社

成蟜について、簡単に紹介しておきます。

 

成蟜が初登場したの1巻の中盤、呂不韋と権力抗争をしていた竭氏(けつし)に担がれて、嬴政から王位を奪う為、暗殺を企て実行している形で登場しています。

この反乱は、嬴政の守役であった昌文君とその部下、山の民一族の協力、特にと山の民バジオウの活躍で鎮圧に成功します。竭氏は反乱の首謀者として首を挙げられますが、嬴政は成蟜の命は奪わず城に幽閉するに留めます。そして、相文君は竭氏の残党は味方につけたいと考えました。しかし、成蟜だけは信用できませんでした。実際、竭氏の右腕とされた肆氏(しし)は、10巻の嬴政が呂不韋の放った暗殺団に攻撃された後、嬴政一派に加わっております。

その間、成蟜は幽閉状態のままですが、呂不韋が丞相よりさらに上の位の相国に自らなり、空席になった丞相を自ら陣営で固めようとした時、嬴政は成蟜を幽閉状態から解き、自らの陣営に招き入れます。嬴政・成蟜連合軍と呂不韋陣営の戦いが始まります。

成蟜は実際に史実ではどのように描かれているのでしょうか

史記や戦国策などの歴史書によれば、嬴政の異母弟であったことも記されています。ただ、嬴政(趙姫と共に趙に人質として差し出されている)とは違い、生まれてからずっと王宮で育っていたようで、呂不韋の策略がなければ成蟜が王位についていたことは十分あり得ました。

また、戦国策の中では、成橋(きょうの字が違います)が、韓の宰相になったとの記述があります。この人物が同一人物かどうかは諸説に分かれているようですが、嬴政が趙より戻ってくるまでは、王位に一番近い存在だったようです。

また、キングダムと内容が違いますが、史書によれば、成蟜は軍隊を率いて張を攻撃しますが、その途中に秦に背いて謀反を起こしたことが記されています。

この時代の歴史書には、正確な内容が書かれているものが少なく、諸説がある状態であることは間違い内容です。

成蟜(せいきょう)の来歴と名シーン

先述したように、成蟜の初登場は1巻中盤です。竭氏に担がれて嬴政の暗殺を企てます。この時の成蟜は自分が王になると思い育っていたところに突然、嬴政が現れ王になります。しかも、嬴政の母親は下賎の身分であり、プライドをひどく傷つけられていたと思います。その反動で、王になれるのは血統のみが許されるという発言を反乱時によくしています。嬴政は、その成蟜にお前は人の痛みを知るがいいと殴りつけ、命を取らず幽閉してしまいます。

この後、成蟜は幽閉され、ストーリーは強大な呂不韋一派対まだまだなんの力もない大王(嬴政)派の権力闘争へとなります。当然、大王派には昌文君を筆頭に、そして主役の信がいますが、全くいって吹けば無くなりそうなぐらいの弱小です。そうしている間にも、嬴政の元に刺客が送り込まれたりします。刺客の一人には羌瘣もいます。信と刺客のはずの羌瘣の活躍で無事に難を逃れます。

そして、次に登場するのは24巻です。

【キングダム】成蟜(せいきょう)の最期とは?実在した?声優や名シーンも紹介

『キングダム』(C)原 泰久/集英社

呂不韋は丞相の地位よりさらに高い位の相国になり、二人いる丞相も自分の一派で固めようと画策します。それを何としても阻止したい嬴政はなんと、成蟜の幽閉を解き、自分の一派に加えます。そのことにより有力な王族、公族の支援を得ることができたことで、昌文君は左丞相につくことが出来、僅かですが秦国内での政治的発言権を得ることに成功します。成蟜という自分を一度は殺そうとした危険人物を自由にすることによってです。

そして、ストーリーは合従軍との戦いに移っていきます。秦軍は国門函谷関で合従軍を退けますが、李牧率いる別働隊が咸陽を目指し攻めてきます。これに、いち早く気付いた信がいる麃公軍はこれを追い阻止しようとしますが、麃公(ひょうこう)は龐煖(ほうけん)に打たれ死んでしまいます。麃公は最後に信に向かって、前進じゃ、咸陽へ行けと言って散っていきます。信は、虚しくその言葉通り咸陽に向かいます。そして、何気なく立ち寄った蕞(さい)で嬴政と合流します。嬴政は咸陽から李牧と戦うため蕞で信を待っていたのです。そして、嬴政は留守にする咸陽を弟の成蟜に預けるのです。

ここから、成蟜は以前とは違い王族として秦国の将来に対して真剣に向き合い、嬴政と共に中華統一を目指すようになるのです。嬴政は信と共に蕞で李牧を食い止めます。

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『キングダム』(C)原 泰久/集英社

ここから、ストーリーは成蟜を中心に動き始めます。成蟜は一段と勢力を急拡大していきます。これは大王一派にとって、呂不韋一派と対抗する意味で非常に有利に働きますが、かつては、敵であったため昌文君は逆に警戒してしまいます。成蟜には公妃瑠衣(るい)がいます。軟禁されている時も片時もそばを離れず支えてきた女性です。

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『キングダム』(C)原 泰久/集英社

その公妃瑠衣が自分の故郷である屯留(とんりゅう)に里帰りをしている時、反乱が起こってしまいます。それを鎮圧するために成蟜は自ら出陣していきます。

しかし、そこで呂不韋の画策で幽閉されて首謀者にされてしまうのです。

嬴政は成蟜が今更反乱を起こすとは思えず、壁を将軍に鎮圧軍を送り、そして、信に成蟜達を救出することを託します。実際、成蟜は自ら反乱者と対峙します。しかしながら、信の救出も間に合わずここで反乱者により命を落としてしまいます。しかし、その時の成蟜の周りには心から忠誠を誓う忠臣がいます。竭氏に担がれた時とは違い成蟜に心から忠誠を誓うものたちです。

最後に、成蟜は瑠衣に後を託す、お前が俺の一派をまとめ上げろ。そして、嬴政の元に一本化しろと言います。そして生き絶えます。

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『キングダム』(C)原 泰久/集英社

公妃瑠衣はその言葉通り成蟜一派をまとめ上げ嬴政の最大の協力者となり、その後に迎える呂不韋との全面対決の力強い協力者となっていくのです。

成蟜(せいきょう)は、嬴政の中華統一の影の立役者

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『キングダム』(C)原 泰久/集英社

成蟜は、血統からいえば嬴政より純粋に王になるべく生まれています。しかし、呂不韋の野望のためその座を失っています。そこから考えればある意味自分が正統な王であると信じてしまうのも無理がない話です。その気持ちを竭氏に利用された一面は仕方ないことだと思います。

しかし、李牧を迎え撃つため蕞に嬴政が自ら出陣していく時の成蟜は、王とは何かを真剣に考え、秦国、果ては中華の未来の形を持っていたのだと思います。それ故に、嬴政は自分の留守を預けることのできる唯一の存在であると認め、信頼して出陣して行くことができたのだと思います。

史記の中では、ただ、反乱を起こしたとのみ記されているだけで詳細は残っていません。しかし、キングダムの中の成蟜は嬴政に負けないほどの偉大な大王になる素質のある心強い弟だったのではないかと思います。

原先生は、キングダムの内容は史記に沿って描いていると35巻のあとがきの中で語っています。当初は壁はこの巻で死ぬ予定だったのですが、誤訳があったので壁は死ななくて良くなりました。と、記しています。

だとすると、今後の嬴政はどのような始皇帝になるのかとても楽しみでなりません。

それにしても、成蟜もまた登場当初から幽閉が解かれて再登場する時の成長はとても同一人物に思えないほどの変わりようです。これからのキングダムの中華統一はどのように描かれて行くのか期待で胸が踊ります。史実の通りなので成蟜の死は止む終えないないかもしれませんが、もっと活躍を見たかったキャラクターであることだけは間違いありません。